【交通事故での過失割合の争い】弁護士のサポートが有効な理由

交通事故では、加害者側や保険会社と「過失割合」を巡って争いになることがあります。一方的に不利な割合を提示されても、専門知識がなければ適切に反論するのは難しいでしょう。

この記事では、過失割合の基本から、争いが生じやすいケース、弁護士に相談するメリットまでを分かりやすく解説します。

そもそも過失割合とは?なぜ過失割合が重要なのか

交通事故では、加害者だけでなく、被害者にも一定の注意義務違反があったと判断されることがあります。

たとえば、信号無視やスピード超過をした加害者の車と、周囲をよく見ずに横断していた歩行者が接触した場合、事故の原因はどちらか一方だけではなく、双方に責任があるとされることがあります。

このように、事故の当事者それぞれにどの程度の責任があるかを「割合」で示したものが、過失割合です。たとえば、被害者に2割、加害者に8割の過失が認められる場合、「20:80」と表されます。

そしてこの過失割合は、損害賠償額にも大きく影響します。

民法第722条第2項では、被害者に過失がある場合、その過失分に応じて損害賠償額を減額できると定められています。この仕組みを「過失相殺」と呼びます。

たとえば、事故による損害額が1,000万円だった場合、被害者に2割の過失が認められれば、受け取れる賠償金は800万円(1,000万円×0.8)となります。

たった数割の差で、数十万円〜数百万円の違いが生じることもあるため、過失割合は示談交渉において非常に重要なポイントとなります。

過失割合が争点になりやすいケース

交通事故では、過失割合をめぐって双方の主張が対立することがよくあります。特に以下のようなケースでは、争いが起きやすくなります。

客観的な証拠がないケース

事故状況を示す写真やドライブレコーダー映像などの証拠がないと、当事者の主張に食い違いが生じやすくなります。証言の信頼性にも限界があるため、交渉が難航することが多いです。

損害額が高額なケース

損害額が大きい場合、過失割合のわずかな違いでも賠償額に大きな差が生じるため、特に争点になりやすい傾向があります。保険会社が被害者側の過失を強調するケースも多く見られます。

駐車場内で起こった事故や自転車同士の事故

駐車場内で起こった事故や自転車同士の事故は、法的な判断基準があいまいで、参考となる判例も限られています。個別の状況に応じた丁寧な判断が求められ、過失割合を巡ってトラブルになりやすい典型的なケースです。

被害者が高齢者や子どもの場合

高齢者や子どもが被害者の場合、事故の詳細をうまく説明できず、証言が十分に認められないことがあります。客観的な証拠の有無が、過失割合の評価に大きく影響します。

弁護士が介入すると過失割合が変わる理由

交通事故の示談交渉では、過失割合が大きな争点となります。わずか1割の違いでも、賠償額に数十万〜数百万円の差が出ることがあるため、慎重な対応が必要です。

過失割合は「基準」があるが、すべてに当てはまるわけではない

本来、過失割合は過去の裁判例や基準表を参考に決定されます。

実務では「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(いわゆる判例タイムズ)」が用いられますが、すべての事故がこの基準に当てはまるわけではありません。

たとえば、歩行者と車の事故では基本的に車の責任が重くなりますが、被害者の行動によっては過失が認められることもあります。

車同士の事故では、速度、信号、道路状況など多くの要素が絡み、過失割合の判断が難しくなるケースが多いです。

弁護士が証拠をもとに事実関係を整理する

こうした複雑な事故において、弁護士が介入することで状況が大きく変わることがあります。

弁護士は、依頼者から事故の詳細をヒアリングし、ドライブレコーダー映像、現場写真、実況見分調書、供述調書などをもとに事実関係を整理します。

さらに、刑事事件として処理されている場合は、一定の手続きにより弁護士が刑事記録を取得することも可能です。

不起訴となった場合でも、弁護士会照会などの手続きを通じて、供述調書や事故当時の写真などを入手できる可能性があります。

保険会社との交渉を有利に進められる

事故の態様が基準表に当てはまらない場合でも、弁護士は過去の裁判例を調査し、根拠のある過失割合を提示できます。

保険会社に対して法的に妥当な割合を主張することで、被害者に不利な条件を押しつけられるリスクを軽減できます。

また、交渉がまとまらなければ訴訟に移行して、裁判所の判断を仰ぐことも可能です。

いずれにしても、弁護士の専門知識と経験が、適正な賠償の獲得につながります。

まとめ|わずかな割合の違いが賠償額を左右する

交通事故の過失割合は、示談交渉の中で最も争いになりやすいポイントの一つです。わずか1割の違いでも数十万〜数百万円の差が生じ、被害者の生活に直結します。特に証拠が不足しているケースや判断基準が曖昧な事故では、専門的な知識が不可欠です。

弁護士に依頼することで、証拠の収集から主張の組み立て、保険会社との交渉や訴訟対応まで一貫してサポートを受けられます。不利な条件を押し付けられる前に、早い段階で交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

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