交通事故後に弁護士選びで失敗しないために【まずは交通事故に強い弁護士に相談を】注力度合の見極め方
交通事故に遭われた際、適切な賠償を受けるためには、適切な弁護士を選ぶことが極めて重要です。
しかし、弁護士なら誰でも同じというわけではありません。交通事故の分野は専門性が高く、弁護士選びを間違えると、本来受け取れるはずの賠償金を逃すリスクもあります。
この記事では、交通事故の被害に遭われた方が、ご自身にとって最適な弁護士を見つけるためのポイントを、専門家の視点からわかりやすく解説します。
1. なぜ交通事故の弁護士選びが重要なのか
交通事故の解決において、弁護士選びが結果を大きく左右します。まずは、専門家に依頼する意義と、選択を誤った場合のリスクを理解しておきましょう。
示談交渉で弁護士に依頼するメリット
交通事故の案件では、相手方の保険会社や医療機関など、様々な関係者との複雑な交渉が発生します。特に加害者側の保険会社は交通事故に関する豊富な情報を有する専門家であり、被害者との間には大きな情報格差が存在します。弁護士に依頼することで、これらの専門的な交渉を一任できるのです。
弁護士に依頼するもうひとつの大きなメリットは、賠償額の算定基準にあります。交通事故の損害賠償額には、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「裁判所基準」という3つの基準があり、賠償額は裁判所基準が最も高額になるのが一般的です。
被害者本人が交渉する場合、通常、保険会社は自社の「任意保険基準」に基づいた、必ずしも十分とは言えない賠償額を提示してきます。これに対し、弁護士は最も高額な「裁判所基準」を用いて損害額を算定し、交渉に臨みます。そのため、示談の段階からより適正な賠償金を受け取れる可能性が高まります。
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弁護士選びを間違えると起こるリスク
弁護士選びを間違えることにはリスクが伴います。たとえば、交通事故案件の経験が少ない弁護士に依頼してしまうと、知識や技能が不足しているために適切な対応をしてもらえず、結果として不利益を被る可能性があります。
弁護士にはそれぞれ得意分野があるため、依頼する分野と弁護士の専門性が合っていない「ミスマッチ」にも注意が必要です。
2. 「交通事故に強い弁護士」とは?見極める3つの視点
では、具体的にどのような弁護士を選ぶべきなのでしょうか。ここでは、「交通事故に強い弁護士」を見極めるための3つの重要な視点をご紹介します。
専門性と経験
交通事故案件は、民法などの法律知識だけでなく、保険の仕組みや医療に関する知識など、幅広い専門性が求められる分野です。
そのため、経験豊富な弁護士が持つ実務的なノウハウが極めて重要になります。初めて交通事故案件を担当する若手弁護士向けに、熟達した弁護士が執筆した専門書が存在することからも、この分野における経験の重要性がうかがえるでしょう。
交通事故分野への注力
弁護士が交通事故分野に本当に注力しているかは、専門知識の深さや対応の視点からうかがい知ることができます。
専門知識の深さ
近年はインターネットで多くの情報が手に入るため、被害者自身もある程度の知識を持っていることがあります。そのため、弁護士には、単なる一般的な知識だけでなく、個別の事案に深く踏み込む姿勢と、それに基づいた的確な解決策を提示する能力が求められるのです。
将来を見据えた視点
交通事故の損害賠償では、後遺障害が適切に認定されるかが非常に重要です。注力している弁護士は、事故後の早い段階から後遺障害の可能性に備え、将来の立証のためにどのような検査を受けておくべきかなど、治療中から具体的なアドバイスをしてくれるはずです。
心情への配慮
交通事故の被害者は、多くの場合、突然の出来事に混乱し、大きな不安や怒りを抱えています。注力している弁護士は、損害賠償という金銭的な問題だけでなく、そうした被害者の心情を理解しようと努めるものです。依頼者が本当に求めていることを理解し、共感してくれる姿勢があるかどうかを見極めましょう。
総合的なサポート
事故後は、今後のことなど様々な不安が押し寄せます。信頼できる弁護士は、まず「損害賠償のことは任せて、今は治療に専念してください」と伝え、治療費の支払手続きを進めるなど、依頼者が安心して治療に専念できる環境を整えてくれます。法律論だけでなく、こうした総合的なサポートを提供してくれるかどうかも、見極めるポイントです。
現在交通事故に注力しているか
過去の実績だけでなく、「現在進行形」で交通事故案件に力を入れているかも重要です。これは、相談時の対応から判断することができます。
個別具体的な対応
交通事故の状況や被害者の心情は、時間とともに変化する「生もの」といえます。現在も第一線で活躍している弁護士は、事前に準備した一般的な説明に終始するのではなく、相談時のあなたの話に真摯に耳を傾け、状況や気持ちの変化を汲み取った上で、柔軟に対応してくれるはずです。あなたの車の損傷(評価損)や診断書の内容など、具体的な資料を見ながら多角的に検討し、的確な質問を投げかけてくれるでしょう。
熱意と積極性
あなたの事件について「誰よりも詳しくなろう」という熱意は、弁護士の言葉や態度に表れます。積極的に質問を重ね、事件の細部まで理解しようとする姿勢が見られるかどうかは、その弁護士が現在もこの分野に情熱を注いでいるかを示す重要な指標です。
3. 依頼前に必ず確認すべき「3つの質問」
実際に弁護士に相談する際、以下の3点について必ず確認しておきましょう。これらの質問への回答から、弁護士の姿勢や能力を見極めることができます。
示談交渉の進め方とスケジュール
法律相談の際には、弁護士に今後の見通しや解決までの具体的な流れについて質問しましょう。信頼できる弁護士であれば、以下のような点を丁寧に説明してくれるはずです。
- 事件の見通しと解決のための方針
- 交渉、調停、訴訟といった選択肢とそれぞれの進め方
- 解決までにかかるおおよその期間
費用の内訳(着手金・報酬金など)
弁護士費用についても、必ず事前に確認が必要です。弁護士には、依頼者に対し、報酬や費用について適切な説明をする義務があります。相談の段階で、費用の見積もりを依頼し、どのような作業にどれくらいの費用がかかるのか、内訳を明確にしてもらいましょう。後から想定外の費用を請求されるといったトラブルを防ぐためにも、費用について誠実に説明してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
医師連携や後遺障害等級認定のサポート体制
交通事故では、後遺障害の等級認定など、医学的な判断が必要になる場面が多くあります。そのため、弁護士が法的な判断だけでなく、必要に応じて医師や外部の専門家と連携し、意見を求める体制を整えているかどうかも重要なポイントです。保険会社も、高度な医学的判断が必要な場合は、医師などの意見を聞く体制を整えています。被害者側としても、同様のサポートが受けられる弁護士を選ぶことが望ましいでしょう。
4. 弁護士との「相性」と「体制」を見極めるポイント
専門性だけでなく、弁護士との相性や事務所の体制も、長期的な関係を築く上で重要な要素です。以下の点にも注目してみてください。
コミュニケーションの質
弁護士との良好な関係を築く上で、コミュニケーションの質は非常に重要です。具体的には、以下の点が挙げられます。
- 報告・連絡・相談の徹底:進捗があった都度、あるいは定期的に状況を報告してくれるか
- 傾聴の姿勢:まずはこちらの話を遮らずに最後まで聞き、不安や不満に感じている点を理解しようとしてくれるか
- 情報共有:事件に関する情報を積極的に共有し、分かりやすく説明してくれるか
依頼者は事件の進捗が分からず不安な日々を過ごすことが多いため、こうした丁寧なコミュニケーションは信頼関係の礎となります。
対応スピード
依頼や相談に対する弁護士の対応スピードも、見極めるべきポイントの一つです。たとえば、依頼を受けるかどうかの判断を曖昧にしたまま時間を空費するような対応は、トラブルの原因にもなりかねません。弁護士には、時機を逃さずに適切な対応をすることが求められます。多忙を理由に連絡を怠るのではなく、迅速に対応してくれるかどうかを確認しましょう。
面談時の印象
弁護士を選ぶ上で最も重要な要素は、その弁護士と「信頼関係」を築けるかどうかです。法律相談の場は、弁護士が依頼者に対してプレゼンテーションを行う場でもあります。面談の際に、威圧的な態度をとらず、親身になって話を聞いてくれるか、こちらの状況を理解しようと努めてくれるかなど、誠実な人柄が感じられるかどうかが重要です。「この弁護士なら本当に自分たちのために最善を尽くしてくれる」と思えるかどうかを慎重に見極めましょう。
5. 交通事故に注力している弁護士を見つける方法
最後に、実際に交通事故に強い弁護士を探す際の具体的な方法をご紹介します。
ホームページの注力表記をチェック
弁護士事務所のホームページで、交通事故案件への注力度を確認することができます。交通事故専門のページが充実しているか、解決事例が豊富に掲載されているか、交通事故に関する情報発信を積極的に行っているかなどをチェックしてみましょう。これらは、その事務所が交通事故分野に力を入れているかどうかを判断する重要な指標となります。
早めの弁護士相談で後悔を防ぐ
交通事故にあってしまったら、事態が悪化する前に、なるべく早い段階で弁護士に相談することが重要です。早期に相談することで、その後の手続きを有利に進めるためのアドバイスを受けたり、証拠の収集がしやすくなったりするなど、多くのメリットがあります。後悔しないためにも、まずは一度、専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。
