交通事故被害を弁護士に相談・依頼するメリット
交通事故に巻き込まれた直後、被害者は治療費・仕事の休業・精神的苦痛など、数えきれないほどの悩みに直面します。
一方で、保険会社から提示される賠償額が、果たして本当に“適正”かどうかを判断するのは、決して簡単なことではありません。
示談交渉や後遺障害の申請といった複雑な手続きに対して、不安やストレスを感じる方も多いはず。そんなとき、法的な知識と実務経験を持つ弁護士がサポートに入ることで、解決までの道のりが大きく変わることがあります。
本記事では、交通事故の被害に遭ったときに弁護士へ相談・依頼するメリットについて、実際の流れや注意点も交えてご紹介します。
交通事故の損害賠償請求「3つの基準」と弁護士に依頼すると金額が上がる理由
交通事故の損害賠償は「どの基準で計算されるか」によって、支払われる金額が大きく変わってくることがあります。
よく使われる算定基準は主に以下の3種類。違いを知らないまま示談に応じてしまうと、必要な補償を十分に受けられないこともあるのです。
① 自賠責基準
国が定めた自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)による基準で、被害者を最低限救済するための制度です。そのため、慰謝料や逸失利益などは低く設定されており、実際にかかる費用や精神的な負担を十分にカバーしきれないケースも少なくありません。
② 任意保険基準
加害者側の保険会社が内部的に定めている支払基準です。自賠責よりは金額が高くなる傾向にありますが、あくまで保険会社側が主導で計算するため、必ずしも被害者にとって公平な内容とは限らないのが実情です。
③ 裁判所基準(弁護士基準)
過去の裁判例などをもとに算出される基準で、3つの基準の中では最も高額となる傾向があります。実際に裁判で争われた場合にこの基準が用いられますが、弁護士が交渉に関与することで、この基準に近い賠償内容を目指せる可能性が出てくるのです。
被害者ご自身が保険会社と直接やり取りをした場合、上記のうち「自賠責基準」や「任意保険基準」が適用されることが多く、賠償額が抑えられた状態で示談が進むリスクがあります。
一方で、弁護士に相談・依頼することで、「弁護士基準」を用いて、より納得のいく補償内容での解決を目指すことが可能になります。
この「基準の違い」こそが、弁護士に依頼するメリットのひとつと言えるでしょう。
弁護士が解決する交通事故の「3つの壁」
交通事故に巻き込まれた後、被害者が適切な補償を受け取るまでには、いくつものハードルが存在します。
中でも、多くの方がぶつかる「3つの壁」があります。
これらの壁を、専門的な知識と経験を持つ弁護士がサポートすることで、よりスムーズで納得のいく解決へ近づける可能性が高まります。
保険会社との複雑な交渉
加害者側の保険会社は、当然ながら自社の支払額をできるだけ抑えようとします。そのため、専門知識のないまま話し合いを進めると、提示された金額が適正かどうかすら分からないまま示談に応じてしまうケースも珍しくありません。
弁護士が間に入れば、裁判例や過去の交渉事例を踏まえて、保険会社と対等な立場で交渉が可能になります。
金額だけでなく、示談のタイミングや条件についても適切に判断できるため、一方的な不利な条件を回避できる可能性が高くなります。
膨大な資料収集と専門的手続き
損害賠償の請求には、診断書・交通事故証明書・休業損害証明書など、複数の資料の収集や整理が必要です。さらに、後遺障害等級認定の申請や訴訟への対応など、慣れない手続きが次々と発生します。
こうした作業を、事故によるけがや精神的負担を抱えながら行うのは、相当なストレスと労力をともないます。
弁護士に依頼することで、必要な資料の収集・整理から各種手続きまでを的確に進めることが可能になり、被害者自身の負担を大幅に軽減することができます。
後遺障害認定の適切な等級獲得
交通事故の後遺障害が残った場合、認定された等級によって、受け取れる賠償金に大きな差が生じます。
ところがこの等級認定は、提出する医療資料の内容や申請の仕方によって結果が左右されることが少なくありません。
弁護士は、医師への説明や資料の整え方に関するアドバイス、さらには認定結果に対する異議申立てまで対応することができます。その結果、本来認定されるべき等級を獲得できる可能性が高まるのです。
弁護士費用特約とは?費用を気にせず弁護士に相談できる強い味方
「弁護士に依頼すると費用が高いのでは?」と不安に思う方は少なくありません。そこで役立つのが「弁護士費用特約」と呼ばれる保険の仕組みです。
この特約は、自動車保険や火災保険などに付帯されていることがあり、利用すれば弁護士費用や相談料を保険会社が負担してくれます。ほとんどの場合、被害者が自己負担する必要はなく、安心して弁護士に相談・依頼できるのが大きなメリットです。
費用面の心配がなくなれば、相談のハードルも一気に下がります。ぜひ加入している保険を確認してみましょう。
※詳細は「要作成8:弁護士費用特約とは?」ページをご覧ください。
弁護士に依頼する最適なタイミング
弁護士に相談するのは「最後の手段」と思われがちですが、実際にはできるだけ早い段階から関与してもらうことで多くのメリットがあります。
ここでは、弁護士に相談するのに特に重要な3つのタイミングをご紹介します。
① 事故直後
事故直後は、証拠や通院の記録が賠償額に影響します。早めに弁護士へ相談すれば、必要な対応や資料の整え方が明確になり、示談交渉を有利に進めやすくなります。
② 示談交渉中
示談交渉では、加害者側の保険会社から賠償額が提示されますが、それが本当に妥当な金額かどうかを判断するには、専門的な知識が不可欠です。
弁護士が代理人となれば、裁判所基準を踏まえた適正な主張ができ、不利な条件で合意してしまうリスクを減らせます。
また、示談で解決できない場合には訴訟に発展することもあります。裁判では高度な専門知識が必要となるため、早い段階から弁護士が関与していれば、訴訟への対応もスムーズに進めやすくなります。「いざという時」の備えとしても、早期相談が大きな意味を持ちます。
③ 後遺障害申請時
後遺障害の申請は、賠償額を大きく左右する重要な局面です。認定される等級によって補償内容が変わるため、診断書の記載や資料の整え方が結果に大きく影響します。
弁護士に依頼すれば、医師との連携や必要書類のサポート、認定結果への異議申立ても含めて対応が可能です。
適正な等級を得るための準備と対策ができることが、依頼する大きなメリットのひとつです。
まとめ|損を防ぐためにも、早めの相談を
交通事故の被害にあったとき、弁護士に相談することで、適正な賠償の主張や複雑な手続きをしっかりサポートしてもらえます。
示談や後遺障害の認定など、結果を左右する場面で専門的な助言を受けられるのは、大きな安心につながります。
また、弁護士費用特約が使えるケースでは、費用を気にせず相談できることも少なくありません。
事故直後からの対応で結果が変わることもあるため、できるだけ早めの相談をおすすめします。
