弁護士費用特約の使い方|保険会社への連絡から依頼までの流れを5ステップで弁護士が解説

弁護士費用特約を使うときは、①特約が付いているか確認する、②依頼する弁護士を探す、③保険会社へ「使いたい」と連絡する、④弁護士と契約を結ぶ、⑤保険会社から弁護士へ費用が支払われる、という5つの流れで進みます。

多くの契約では、弁護士に正式に依頼する前に、保険会社の承認を得ることが必要です。この順番を誤ると、費用が保険金の対象外になることもあります。

この記事では、保険会社への伝え方や、家族の保険を使えるかどうかなど、迷いやすいポイントを弁護士がわかりやすく整理して解説します。

目次

1. 弁護士費用特約とは|30秒でわかる要点だけ

弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が相手に損害賠償を請求するとき、弁護士に依頼した費用を保険会社が負担してくれる特約です。

法律相談料や着手金、報酬金、実費などが対象になることが多く、加入していれば自己負担なく弁護士に相談できる場合があります。

詳しい制度内容は「弁護士費用特約について」をお読みください。

補償される費用と上限の目安

相談料・着手金・報酬金・実費などが補償の対象になりますが、上限は契約ごとに異なります。

一般的な例として、法律相談費用は10万円、弁護士費用は300万円程度が上限とされることが多いです。

ただし、この金額はあくまで一例のため、自身の保険証券や約款で確認しておくと安心です。

使っても等級(保険料)に影響しないのが一般的

弁護士費用特約を使っても、多くの場合、自動車保険の等級は下がりません。

つまり、翌年の保険料が上がらない扱いになっていることが一般的です。

ただし、保険会社や商品によって扱いが異なる可能性もあるため、契約先に確認しておくとよいでしょう。

2. まず確認|あなたのケースで「使えるか」「どこまで出るか」

弁護士費用特約を使う前に、自分のケースが対象になるかを確認しておくことが大切です。

対象になる人や事故の範囲は、加入している保険の約款によって変わります。

特約を使える人の範囲

弁護士費用特約は、契約者本人だけでなく、家族や同乗者が利用できる場合もあります。

一般的には、記名被保険者、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子、契約車両に乗っていた人などが補償の対象となります。

ただし、実際に利用できる人の範囲は保険会社や契約内容によって異なります。家族が交通事故に遭った場合でも使えることがあるため、本人の契約だけでなく、家族が加入している自動車保険の弁護士費用特約も確認してみましょう。

使える事故の範囲

弁護士費用特約は、人身事故だけでなく、物損事故でも利用できる場合があります。

また、自転車事故や歩行中の事故、相手方に一方的な過失があるいわゆる「もらい事故」なども、補償の対象となることがあります。

ただし、対象となる事故の範囲は保険会社や契約内容によって異なるため、実際に利用できるかは約款や保険会社への確認が必要です。

「300万円」は何に対する上限か/超えた分はどうなるか

弁護士費用特約では、弁護士への依頼にかかる費用について、300万円程度を支払限度額としている商品が一般的です。

一方、法律相談費用については、これとは別に10万円程度の上限が設けられていることもあります。

支払限度額を超えた分は自己負担となるため、依頼前に補償内容と弁護士費用の見込み額を確認しておくと安心です。

チェックリスト:この3つに当てはまれば、弁護士費用特約を使える可能性が高い

次のすべてに当てはまるときは、弁護士費用特約を使える可能性が高いといえます。

確認項目内容
事故の種類約款で補償対象とされている事故である
請求の予定相手方に損害賠償を請求する予定がある
特約の加入自分または家族の保険に弁護士費用特約が付いている

ただし、実際に利用できるかどうかは、契約している保険の約款や事故の状況によって異なります。自分の判断だけで決めず、保険会社や弁護士にあわせて相談することをおすすめします。

3. 弁護士費用特約の使い方|5ステップの流れ

弁護士費用特約は、次の5つのステップで使うのが基本の流れです。

順番を誤ると、支払った費用が保険金の対象外になることもあるため、注意しておきましょう。

STEP1|特約が付いているか確認する

まず、自分が加入している自動車保険に、弁護士費用特約が付いているかを確認します。

確認方法としては、保険証券を見る、保険会社のマイページやアプリで調べる、約款を読む、代理店へ電話する、といった方法があります。

自動車保険だけでなく、火災保険や傷害保険、クレジットカード付帯の保険、共済、勤務先の団体保険に付いていることもあるため、あわせて確認するとよいでしょう。

なお、自分が契約者でなくても、同居の家族や別居の未婚の子であれば、その保険を使える場合があります。

STEP2|依頼する弁護士を探す

次に、依頼する弁護士を探します。

弁護士は、原則として自由に選ぶことができます。保険会社から紹介された弁護士に依頼しなければならない、というルールは通常ありません。

弁護士を選ぶときは、交通事故の取扱実績や、相談・面談のしやすさを基準にするとよいでしょう。

交通事故に注力している弁護士の見極め方

STEP3|保険会社に「特約を使いたい」と連絡する

弁護士に正式に依頼する前に、保険会社へ「弁護士費用特約を使いたい」と連絡し、承認を得ておくのが原則です。

保険会社の同意を得る前に弁護士費用を支払ってしまうと、その費用が保険金の対象外になることがあるため注意しましょう。

電話では、証券番号、事故日や事故状況、自分の立場、特約を使いたいという意思、依頼を検討している弁護士名や事務所名を伝えると、話がスムーズに進みます。

たとえば、次のように伝えると分かりやすいでしょう。

「交通事故の被害について、相手に損害賠償を請求するため、弁護士費用特約を利用したいです。〇月〇日、交差点での衝突事故に遭いました。私は被害者です。依頼を検討しているのは〇〇法律事務所の〇〇弁護士です。対象となる費用や支払いの上限、必要な手続きを教えてください」

保険会社からは、事故の具体的な内容や依頼予定の弁護士について確認されたり、同意書や弁護士費用に関する承諾書の提出を求められたりすることがあります。書類の内容は保険会社によって異なるため、案内に従って準備を進めましょう。

STEP4|弁護士と委任契約を結ぶ

保険会社への連絡が済んだら、弁護士と委任契約を結びます。

委任契約書と委任状に署名・押印し、依頼する範囲や弁護士報酬を取り決めます。

費用については、日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)の基準が用いられることが多いです。もっとも、自分で選んだ弁護士に依頼するときは、報酬基準が保険会社の支払基準と異なることもあります。

弁護士費用特約の上限を超えそうな場合は、事前に弁護士から説明を受けておくと、後から自己負担が生じて困る事態を避けやすくなります。

ご相談から解決までの流れ

STEP5|費用は保険会社から弁護士へ直接支払われる

最後に、弁護士費用の支払いが行われます。

保険会社から弁護士へ直接支払われるケースが多い一方、契約や運用によっては、被害者がいったん立て替える場合もあります。

支払い方法は契約ごとに異なるため、依頼前に、誰が、いつ、どの費用を支払うのかを確認しておくと安心です。

以後の費用のやり取りは、基本的に弁護士と保険会社の間で進んでいきます。

全体スケジュールの目安

弁護士費用特約を利用してから解決までにかかる期間は、事案によって大きく異なります。

特約の確認や保険会社への連絡、弁護士との委任契約までは、比較的短期間で進むことが多いです。一方、弁護士費用の支払い時期は、事前承認の有無や必要書類の提出時期、保険会社による確認・調査の内容によって変わります。

また、委任契約後の交渉から解決までは、数か月以上かかることもあります。治療期間や示談交渉の進み方によって左右されるため、期間はあくまで目安として考えておきましょう。

4. 特約が複数ある場合はどれを使う?

弁護士費用特約は、複数の保険に付いていることがあります。そういった場合、どの保険を利用すればよいのでしょうか。

よくある重複パターン

よくあるパターンとして、

  • 本人の自動車保険と配偶者の自動車保険の両方に特約が付いている
  • 自動車保険と火災保険の両方に付いている
  • 自動車保険とクレジットカード付帯の保険の両方に付いている

といったケースがあります。

こうした重複は珍しくないため、まずはどの契約に特約が付いているかを、一通り洗い出しておくとよいでしょう。

考え方の原則:複数あっても、実際にかかった費用を超えて受け取ることはできない

複数の契約に特約が付いていても、実際にかかった費用を超えて保険金を受け取ることはできません。これを重複てん補といいます。

損害保険は、実際の損害を補償する仕組みのため、複数契約があっても、支払いの合計が実際の損害を上回ることは想定されていません。

複数契約があるときは、それぞれの保険会社に契約内容を伝えたうえで、保険会社間の調整を含めて確認しておく必要があります。

実務上どれから使うか

実務上は、まず自分が記名被保険者となっている契約を確認するのが一般的な順序です。

対象外であれば、同居の家族や、別居の未婚の子の契約へと範囲を広げて確認していきます。

補償額や免責、対象事故の範囲は契約ごとに異なるため、弁護士に約款を確認してもらいながら、もっとも広く使える契約を選ぶのが実務的といえるでしょう。

上限を超えそうなときに複数契約を組み合わせられるか

一つの契約の上限だけでは足りないと見込まれるとき、複数の契約を組み合わせて使えるかどうかは、保険会社間の調整が必要な問題です。

組み合わせが可能かどうかは、各契約の約款や、保険会社ごとの対応によって異なります。

そのため、上限を超える可能性がある事案では、早めに弁護士や保険会社へ相談しておくことをおすすめします。

比較表:加入先別に見た特約の特徴

ここでは、加入先となる保険の種類ごとに特徴を整理します。

加入先特徴
自動車保険もっとも一般的で、対象事故の範囲が広い商品が多い
火災保険日常生活のトラブルとあわせて補償される商品がある
クレジットカード付帯契約者本人以外は対象になりにくいことがある
共済商品ごとに補償内容の差が大きい

いずれも、補償の範囲や上限は商品ごとに異なるため、表はあくまで目安として捉えてください。

5. 「使えない」と言われたときの対処法

弁護士費用特約は、すべてのケースで使えるわけではありません。ここでは、保険会社から「使えない」と言われたときの対処法を整理します。

特約が使えない典型ケース

弁護士費用特約は、次のようなケースでは対象外となることがあります。

  • 自分の過失が100%の事故
  • 自分の故意や重過失によって生じた事故
  • 台風・地震などの自然災害による事故
  • 被保険者同士の事故
  • 請求額が著しく少額である場合

ただし、補償対象外となる条件は保険会社や約款によって異なります。上記に当てはまる場合でも、自己判断であきらめず、まずは保険会社や弁護士に確認するとよいでしょう。

保険会社に利用を渋られたときにどうするか

保険会社から弁護士費用特約を利用できないと言われた場合は、まず、どの約款の規定に基づいて対象外と判断されたのかを具体的に確認しましょう。

自分で確認・交渉するのが難しい場合は、弁護士から保険会社に連絡してもらう方法もあります。

また、弁護士費用についても、依頼者と弁護士との契約内容がそのまま全額補償されるとは限りません。保険会社の支払基準や事件の内容によって、補償される金額が調整されることがあります。

特約が使えない場合でも依頼する価値があるか

弁護士費用特約が使えない場合でも、弁護士への依頼を検討する価値はあります。

賠償額の増額が見込める事案では、弁護士費用を差し引いても、依頼したほうが手元に残る金額が増える可能性があります。

賠償金の増額交渉がうまくいかない理由と対処法

6. 使うタイミングと、よくある誤解

弁護士費用特約は、事故後のどのタイミングで使うかによって、弁護士に相談できる内容や対応の進めやすさが変わります。

ここでは、利用するタイミングの目安と、弁護士費用特約についてよくある誤解を整理します。

ベストなタイミングは「治療中〜示談交渉が始まる前」

弁護士費用特約は、治療中から示談交渉が始まる前までに使い始めるのが望ましいと考えられます。

示談が成立したあとは、争うべき点がすでに解決しているため、あらためて弁護士に依頼して交渉する場面自体が生じにくくなります。

判断に迷うときは、示談を進める前の早い段階で、保険会社や弁護士に相談しておくと安心です。

特約を使っても保険の等級は下がらないのが一般的

弁護士費用特約を使っても、多くの場合、自動車保険の等級は下がりません。

つまり、翌年の保険料が上がる心配は、基本的にしなくてよいと考えられます。

もっとも、契約している商品によって扱いが異なる可能性もあるため、保険会社に確認しておきましょう。

「保険会社に迷惑がかかるのでは」という心配は不要——特約は保険料を払って備えている権利

「特約を使うと保険会社に迷惑をかけるのではないか」と感じる方もいますが、その心配は不要です。

弁護士費用特約は、保険料を支払って契約している補償のひとつです。利用条件を満たしていれば、必要なときに使って問題ありません。

7. 弁護士費用特約が使えるか、まずは確認してみませんか|静岡の弁護士が無料でご相談を承ります

「相手方の提示額に納得できないが、弁護士に頼むとかえって費用がかさむのではないか」——その心配は、弁護士費用特約が使えるかどうかを確認するだけで解消することが少なくありません。

林総合法律事務所では、「特約が付いているかどうかわからない」という段階からのご相談を歓迎しています。

保険証券を拝見して特約が使えるか/どこまで補償されるかをご説明したうえで、ご依頼いただくかどうかをお決めいただいています。特約が使えない場合も、増額の見込みと費用を比較して「依頼する価値があるか」を率直にお伝えします。

交通事故のご相談は初回無料

弁護士費用特約をご利用いただける場合、自己負担なくご依頼いただけることがあります(ご加入内容により異なります)

ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険で使える場合もあります。あわせて確認します

保険会社への「特約を使いたい」というご連絡も、必要に応じて当事務所から行います

静岡市の事務所で直接お会いしてご説明します。通院先との連携や静岡地方裁判所の実情を踏まえた対応ができるのは、地元の弁護士だからこそです。ご来所が難しい方はオンライン・お電話でも対応可能です

相談料0円/初期費用0円/完全成功報酬/弁護士費用特約利用可

054-293-9059(平日10:00〜18:00)

メール・LINE 24時間受付【静岡県全域対応】

よくある質問

弁護士費用特約を使うとき、弁護士と保険会社のどちらに先に連絡すればよいですか?

多くの契約で保険会社の承認が必要なため、先に保険会社へ連絡するのが安全です。依頼を検討している弁護士が決まっているときは、名前や事務所名もあわせて伝え、報酬基準も確認しておきましょう。

自分の保険に弁護士費用特約が付いていない場合、家族の保険の特約を使うことはできますか?

家族の保険を使えるかどうかは、その保険の約款が定める被保険者の範囲によります。同居の家族や別居の未婚の子が対象になる商品も多いため、家族の保険証券や約款もあわせて確認してみるとよいでしょう。

弁護士費用特約を使うと、翌年の保険料は上がりますか?補償の上限(300万円)を超えた場合はどうなりますか?

多くの場合、特約を使っても等級は下がらず、保険料への影響はないとされています。また、補償の上限を超えた分は自己負担になることがあるため、事前に弁護士へ見込み額を確認しておくと安心です。

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